toggle
2015-08-14

介護の未来 -認知症を考える-

future_top

認知症を学び地域で支えよう

現在4人に1人が発症すると言われている「認知症」ってどんな病気か知っていますか?

昨今、認知症と地域の関わり方が問われています。木更津を中心に医療・教育・食の方面から、地域で様々な取り組みをしている方々から意見を伺いました。

認知症02袖ケ浦さつき台病院 認知症疾患医療センター長  細井 尚人(ほそいなおひと)
昭和43年生まれ、群馬県出身。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒。袖ケ浦さつき台病院で、認知症疾患の患者を専門としている。最後までその人らしく生き抜くことに着目しながら医療活動を行う。
「認知症は家族や地域のあり方を見直すために神様から貰った共通課題」

認知症03木更津市立 太田中学校 校長 石井 章(いしいあきら)
昭和31年生まれ、千葉県出身。青山学院大学卒。木更津市教育委員会に3年在籍後、中学校の校長を歴任。核家族化が進んでいる学生に、ボランティアなどを通じ高齢者との触れ合う場所づくりに取り組む。
「心から〝ありがとう〟といわれる体験を子供達にもっとさせたい」

認知症04清見台カフェ オーナーシェフ 水戸 博継(みとひろつぐ)
昭和37年生まれ、東京都出身。大阪あべの辻調理専門学校フランス料理専攻家卒。都内の複数のレストランの料理長を歴任後、渡仏を繰り返す。介護食の商品開発にも携わり、認知症サポーターでもある。
「認知症の問題はたしかに大変なことですが、明るい方向に進んでほしい」

—そもそも認知症ってどういったものなんですか?

細井認知症は見分け方が難しい「病気」で、よく物忘れと混同されがちですが、日常生活をおくることが困難になると認知症と診断されます。初期症状としては、冷蔵庫の中に同じ物が多くあることや、男性だと通いなれた道で迷ってしまうなどがあげられます。

—認知症の人と正しく接するために必要なこととは?

水戸:親戚で認知症だった方の症状としては、10分間会話がもたない。だんだんと、その10分が5分になって最終的には会話の途中で「こんにちは」ってなってしまう。認知症の方が身近にいない人には、理解しづらいでしょうね。

細井:認知症になった方は努力を怠ったと見る人がいますが、それは全くの間違いです。今認知症の方のほとんどが、65才以上の高齢者です。認知症の一番の原因である老化は止めることはできないので、誰もがなりえる病気だと理解してほしい。予防としては人と接してよく笑う事です。笑うと免疫も高まり、感情にもいい刺激になります。なので孤立が一番よくありません。認知症になり、自然に出来てきたことが突然できなくなると、意欲が低下します。出来ないことを恥じて、何もやらなくなってしまい、症状が悪化するでしょう。家庭内でも、ちゃんと役割を持たせてあげて下さい。普段通りの生活ができるようにサポートすることが一番重要です。

—地域の認知症への理解度についてはいかがですか?

石井学生は認知症について多少は知っているものの、認知症になったらとの問いにすぐに「施設」という声があがりました。まるで人ごとですね。核家族化が進み、高齢者との関わりが少ない事も少なからず影響があるかもしれません。

細井:認知症に関しては、大人の問題で、子供達にはまだ早いというイメージがどうしてもあるみたいです。子供達と一緒に生きて行くためには、彼らの理解を増やしていきたいですね。

—認知症の方をもつ家族が感じるストレスについて

細井母親が変わっていく様が耐えきれない人がいます。特に男性です。見舞いに行っても自分だけ会わない人も。やはり母親は特別な存在ですから。

水戸知人の話ですが、ある日実家に帰ったら、同じ商品ばかりが大量にあったそうです。話を聞くと買ったことを覚えていられなくなっていました。彼は一人息子で、母親思いだったので、仕事を辞めて介護を始めたと聞いています。人に預ける選択肢もあると思うのですが、どう判断をしたら一番いいかはわからないです。

細井:そのパターンだと虐待が起こる可能性もあります。懸命に介護している方の中には、報われないことに憤りを感じる方もいます。生真面目な分、「こうでなくてはいけない」と考え、それから外れてしまうと強いストレスになって暴力的な行為を行ってしますのです。

石井:一生懸命面倒を見ても、心ない言葉を投げかけられると苦しいし悲しいです。

細井笑顔で穏やかに生活されている方もいますので、一概には言えませんが、やはり家族だけでは限界があります。認知症は恥ずかしいことでも、隠すことでもないですが、一家庭内の問題だけにするのではなく、地域全体の問題として捉える必要があります。先ほど施設といった話がありましたが、高齢者の人数が増え続けているので簡単には受け入れてもらえないでしょう。

—私たちが今日からできることはありますか?

細井:地域に関心を持つことです。見守ることはいいことですが、見張ってしまっては意味がないので、孤立する人を減らしていく事が重要です。しっかりとした関わりを持ち「孤立しない地域」をつくっていくことが一番大事なことです。

石井今の時代は関わる機会をつくる必要性を感じます。人と関わる良さをもっと身近に感じてほしい。先日、お年寄りの家の粗大ごみを回収するボランティアに、中学生が数名参加しました。「ありがとう」と感謝の言葉を頂き、人の役にたったことを実感でき、喜んで大変な作業をしていました。すると「この地域にはいい人がいるね」とある生徒が言っていました。認知症に限らず、子供達が積極的に大人と関われる地域の先に孤立しない社会が生まれると思います。

細井:病院の職場体験でも学生は本当にいい顔をするので、日常でもそういった体験を増やしたいです。

水戸一度認知症の方がお食事に来て、お会計の際に財布がなかったりとか言動が少し噛み合なかったことがありました。見た目では全くわかりませんから、困惑してしまいましたが、たまたまいらした別のお客様が認知症サポーターで、代わりに色々とお話して頂きました。すごく助かりましたし、そういったケアができる人が増えてほしいと思い、私も認知症サポーター講座を受講しました。

—認知症の方に向けてどんな取り組みをしていますか?

水戸:認知症が進行してうまくやができない方にはNG食材がたくさんあります。海苔もそうなのですが、私が作っている江戸前海苔パウダーは液体にも溶けやすい調味料なので、介護食として活用されています。それと、嚥下補助食品と薬を飲む方で甘い味を嫌がる人がいるので、現在海苔パウダーを混ぜた甘くない嚥下補助ゼリーの開発に取り組んでいます。

細井:それはいいですね! 認知症に限らず食欲っていうのはすごく大事で、食事を美味しく感じられなければ生きる活力が減少してしまいます。介護食の新しい可能性を感じます。

認知症01

—終わりに

細井:いまの社会は「自分は関係ない」という個の考え方が非常に強いです。でもありがとうって言葉を言われて嫌な人はいませんよね。それを言われたら関係ないって言いにくくなる。知らない人同士の「ありがとう」が飛び交い、地域としての結びつきが強くなれば、きっと認知症の人にも優しい場所になります。地域の方に支えてもらって、我々医療の人間が最後の砦として、認知症の問題に関われたらと思っています。

石井:子供たちは大人が思う以上に色々な力をもっているなとつくづく思います。きちんと教えてあげればわかるし、できることが増えるので教育は大切です。学校に限らず、色々な人にこの問題を認識してもらうことが必要です。私も人と関わる良さみたいなものをもっと子供たちに伝えていきたいです。

水戸料理人としては認知症カフェなど、健常者の方と同等のサービスが受けられる体制を整えたいです。飲食店に限らず、色々な商店にも賛同してもらい、認知症の方やその家族に向けて明るい話題を増やしたいですね。

 

認知症サポーターキャラバンとは?

認知症の人と家族への応援者である認知症サポーターを全国で養成し、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指しています。全国の市町村等の高齢福祉担当課とキャラバン・メイトが連携し、「認知症サポーター養成講座」を開催しています。事業の詳細はHPをチェック!!

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です